あえてリゾート地を外して

ユカタン半島の観光はリゾート地としてのカンクンが有名であるが、私たちはあえてリゾート地を外して、ユカタン半島の州都メリダに宿泊することにした。メリダはマヤ遺跡への入り口の町、街中にマヤの文化が息づいている。マヤ文明はここユカタン半島東部からベリーズ、グアテマラ、ホンジュラス、エルサドバドルへと広がる3500年以上も続いた文明だ。高度に発達したマヤ文字を持ち天文学にも優れ、特にマヤ暦は有名だ。私たちは観光タクシーを借りてマヤ文明後期のウシュマルとチチェン・イツァーにそれぞれ一日ずつ分けて見学に行くことにした。

チチェン・イツァー遺跡とセノーテ

チチェン・イツァーで有名なのがエルカスティージョと呼ばれている中心的な神殿だ。9層の基壇を持ち、普通は正面に一つだけ階段があるが、ここは四面全てに階段が設けられている。春分と秋分の日には、底辺に蛇頭が設置されている中央階段の両側に現れる影が蛇の胴体のように見えるので、大勢の見物客で賑わうらしい。ここにも球技場があり、負ければ首をはねられたことが壁のレリーフで分かる。また、戦士の神殿の頂上にはチャック・モールという生贄の心臓を神に捧げるための台座もあった。
遺跡の帰りにセノーテという聖なる泉に寄った。ユカタン半島は石灰岩で出来ていて雨は全て地中に溜まるので川がない。地下に溜まった水の上の地面が陥没して出来たのがセノーテである。半島のあちこちにあるがここが最大規模だそうだ。泉に入って良いということなので水着を着て入ってみた。吸い込まれそうなほど深く水は冷たい。ロープが張ってありぶら下がることができたが怖くてすぐにあがった。昔、日照りの時にこの泉に若い処女が人身御供として投げ入れられたといわれ、祭壇跡が残っている。古代、普通の人々の命は本当に軽かった。

州庁舎の中庭にあったと記憶する生贄の台座「チャック・モール」のレプリカ。手に持っているボールの中に生贄の心臓を入れて、神に捧げたらしい。

チチェン・イツァーがから3㎞の所にある、泳げるように整備されている天然のセノーテ。泳がなくてもロープにつかまって向こう岸まで行くことが出来る。

チチェン・イツァーのエルカスティージョ。左側の地べた付近に蛇頭があり、春分と秋分の日に大蛇のような影が現れるように設計されている。

戦士の神殿の上部にある生け贄の台座“チャック・モール”。ここまで登ることは禁止されているので望遠レンズで撮った。

地元の郷土料理店にて民族衣装を着ているウエイトレスさんと記念撮影。

チチェン・イツァーから3㎞の所にあるセノーテ。下に降りられるようになっていて泳ぐことができる。私たちも中に入ってみた。

チチェン・イツァーの帰り道に寄ったお土産屋で「マヤ文明の像の形をしたオカリナ」を買った。メキシコで沢山のお土産用オカリナを見たがマヤ像はこの一体しか見なかった。