兼高かおるになりたかった!

1960年代当時、飛行機に乗ったというだけで近所の話題になるような時代に、世界中を飛び回りテレビで見せてくれる兼高かおるさんに私は憧れた。外国に行くなら国際線のステュワーデス!と思ったが、当時ステュワーデスは容姿端麗でなければなれない花形職業。体重60キロの私は早々に諦めた。それから結婚して子育て真っ最中の時には、沢木耕太郎の「深夜特急」にハマった。そうかバックパッカーで世界一周という手もあったのかと知ったが、すでに青春は過ぎ去っていた。
いつの間にか世界中を旅したいという思いは忘れ去り、山あり谷あり谷底ありのアップダウン人生を送ってきたが、60歳を過ぎたある日、突然私は思い出したのだ。「そうだ、私は兼高かおるさんのようになりたかったんだ!」と。

世界1周を目指して

人生は長いようで短い。死ぬまでに行ける限りの国に行くことを退任後の目標にした。これからは年に1~2回は長期の旅ができる。兼高かおるさんには遠く及ばないが、その旅を誰かに伝えることができたならと密かに野望を抱いていたところ、グラフ旭川さんのご厚意で連載させて頂けることになった。
元来、私は名所旧跡に興味がある方ではない。とにかく行ったことがない国にただただ行きたいだけなのだ。という訳で、観光地のガイドブックとしては全く役に立たないかもしれないが、読者の皆さまには、我がままシニアの気まま旅と思ってお付き合い願いたい。

イベリア半島一周時速120キロの旅

さて、今年の4月末にツレが習っているスペイン語の先生イグノッシーがバルセロナにお里帰りをするというのでついていくことにした。ついでにポルトガルにも行こうということになり、1カ月間かけて車でイベリア半島を1周することになった。果たして時速120キロのシニア旅は如何に?乞うご期待。