フリーダ・カーロに惹かれて

フリーダ・カーロは近年注目が集まっているメキシコの画家である。日曜美術館で彼女を観てから興味を持ち、自伝映画を観てそのカッコよさに益々惹かれた。意志の強さを表す眉間まで繋がった太い眉、射貫くような眼差し。彼女の自画像は「私は何者なのか?」と自問しながら、「お前は何者なんだ?」と観る者に詰め寄る。
観光客にも人気らしくお土産屋には彼女の自画像が印刷されたTシャツやポーチなどがたくさん売られていた。私もTシャツとポーチとお財布を買い、今でも愛用している。

地下鉄は怖い?!

彼女の生家が博物館になっているので地下鉄に乗って行くことにした。ガイドブックなどではメキシコの地下鉄は危険なので乗らない方が良いと書かれていたが、昼間なので大丈夫だろうと判断した。
座席に座ると向こうの車両からカン!カン!カン!という金属を叩く鋭い音が近づいてくる。「なんだ、この音は?!」と辺りを見ると、若い男がスパナーでつり革の金属ポールを叩き、大声で叫びながらこっちに向かって来る。身構えているとその男は私たちの前をスーッと通り過ぎて行った。すると次の男がまた大声で叫びながらやってくる。見ると手にはイヤホンを持っている。その後ろをまた男が何かを持って叫びながらやって来る。そこまできてやっと私たちにも状況が理解できた。メキシコの地下鉄では「ひっきりなしに物売りがやって来る」ということを。
ホッとして車両の中を見回すと、入り口のところに立っている若いカップルが薄いせんべいのような菓子を交互に相手の口に運んでいる。少女は手に鳥籠を持ち、時々小鳥にせんべいのかけらを与えていた。その光景はまるで昭和の日活青春映画の一コマのようで、なんとも微笑ましく懐かしい感じがした。

壁画の三大巨匠のひとりで夫でもあるディエゴ・リベラが文部省の壁画に描いたフリーダ・カーロ。

フリーダ・カーロの生家、青い家。凄い人気らしく事前予約なしでは入れず、入り口にたむろする観光客。

フリーダ・カーロの生家の近くにあるトロツキーが殺害された家も博物館に。一時期二人は愛人関係だった。

トロツキー博物館の中にあった写真。右端がトロツキー、中央の女性がフリーダ、左端がリベラ。