トルティーヤは日本の米のようなもの
先住民族の料理とスペインから持ち込まれた料理が融合し、豊富な素材とサルサなど秀逸なソースから生み出される、複雑でクセになる味わいが特徴のメキシコ料理は、2010年にユネスコ世界無形文化遺産に登録されている。日本にいる私たちがメキシコ料理としてイメージするのは肉や野菜を挟んだタコスやブリトー。でもこれはアメリカ由来のメキシコ料理。しかし本場のメキシコ料理は煮込み料理や炭焼きなどバラエティーに富んでいる。とは言っても、タコスやブリトーの皮であるトウモロコシの粉を焼いたトルティーヤは、日本の米のような存在で様々な料理に使われている。メキシコでは、遠くマヤの時代からトウモロコシは人々の命を支えてきた。
オムレツには要注意
メキシコ到着二日目、ブランチを食べようと街をぶらついていると、行列ができているレストランを見つけた。焼きたてのパンが有名と聞いて並び、メニューにオムレツとあったので、パンと二種類のオムレツを注文した。しかしやってきた料理は日本の卵を使ったオムレツとはまるで違っていた。トルティーヤで肉や魚介類を挟んだ物の上に、クリーミィーなソースがかかっている。ウエイターが運び間違えたのかと聞いてみると、間違いなく注文したオムレツだと言う。
その後も何度かオムレツにトライしたが一度も卵のオムレツは出てこなかった。メキシコではオムレツとはトルティーヤ挟みのソースかけのことらしい。オムレツの語源を調べてみるとラテン語の「ラミナ」で薄い物を重ねるという意味らしく、卵はいっさい関係ない。なるほど、納得!
メキシコで日本のような卵のオムレツを食べたい時には「トルティーヤ デ ウェボ」か「エッグオムレット」と注文することをお薦めします。