歴史的建造物を改装したポザーダ

ポルトガルでは歴史的建造物を改装したホテル“ポザーダ”に泊まることも目的の一つ。リマの女王と呼ばれる美しい国境の町ヴィアナ・ド・カステロの山頂に建つ白亜の洋館は、下を流れるリマ川を見下ろせるロケーションもレストランのクオリティも素晴らしい申し分のないポザーダだった。
首都リスボンでは、市の中心部コルメシオ広場の一角にある国の重要文化財旧内務省を改造したポザーダに宿泊。1755年の大地震の後に300年先を見据えて造られた建物は265年を経ていまだ健在である。

地獄のカストロ・オビドス

「リスボンの北、城壁に囲まれた人口800人のオビドスは「谷間の真珠」と呼ばれる絵のように可愛らしい町。王妃イザベルの城だったカステロ・オビドスがあり、塔のスイートルームは下がサロンと風呂、上階がベッドルームという贅沢な造りで、女王様気分を味わえる」というふれ込みを信じたのが地獄の始まりだった。
まず城壁の入り口がどこか判らない。30分程行ったり来たりしてやっと見つけた入り口は幅2メートルもないほぼ直角のカーブ。レンタカーは5ドアのBMBで小回りが効かない。ビィービィーと警告音が鳴りっぱなしの中、通りがかった香港人ご一家の協力で「ゴー、ストップ、バック」を繰り返し、半泣きになりながら30分以上もかかってようやく通り抜けることができた。その後も細い道はホテルまで続き、カーブの度に「ゴー、ストップ、バック」を繰り返し、合計で2時間近くかかって やっとの思いでホテルにたどり着いた。
期待していた塔のスィートルームは建坪が8畳間程度。下階は3畳の風呂と半畳の玄関もどきを除くと、トランクを広げると歩けない程の狭さで窓がなく息苦しい。上階への階段は梯子の様に急でなんだか牢獄のような感じ。これで一泊5万円!身の程知らずに王女様気分を味わいたいと思った自分の浅ましさを猛烈に反省した。

コルメシオ広場を囲んで建っている政府関係の建物。左の奥がポザーダになっている。

カステロ・オビドスの塔のスィートルームの外観。昔は見張り番所だったのでは?

ポザーダ・ヴィアナ・ド・カストロのエッグタルトはポルトガルで一番美味しかった。

カステロ・オビドスへの恐怖の入り口は幅2メートルの直角。